坐骨神経痛の真実
2021.01.29
はじめに
患者さんの中に坐骨神経痛の症状を訴える方が多くいらっしゃいます。
お尻から太もも、足の先にかけてピリピリした感じであったり、激しい痛みであったり、症状は様々です。
坐骨と神経と痛み
患者の皆さんは一口に「坐骨神経痛」と言いますが実はこれは病名ではありません。実際には原因となる病気によって起こる、「症状」の名前です。
分かっているようで実はあまり知られていない坐骨神経痛について解説してみたいと思います。まず、坐骨の場所を確認しましょう。坐骨とは骨盤の一部であり、文字通り硬い椅子などに座った時に感じられるお尻の奥にある骨です。

坐骨神経は背骨の中でも腰の部分にある腰椎、その中でも4番目と5番目の骨の間から出る神経とその下にある仙骨と呼ばれる骨の中から出る神経が1つになり坐骨の中を通って太ももの裏側からつま先まで達しています。3つの神経が1つになっていますので坐骨から出てくる時はかなり太い神経になっています。
私がアメリカの大学で解剖を行った時に、初めて実際の坐骨神経を見たときは私の親指ぐらいの太さで驚きました。
坐骨神経の痛みの原因は様々です。主な原因を見てみましょう。
坐骨神経痛の原因
坐骨神経痛の原因のひとつに、腰部脊柱管狭窄症があります。脊柱管狭窄症は、背骨の中を通る神経の通り道、脊柱管が狭くなることで起こる病気です。神経が圧迫され、痛みや痺れなど坐骨神経痛の症状が起きます。
比較的高齢の患者様に多いです。
椎間板ヘルニアも原因のひとつです。椎間板ヘルニアは、背骨を構成する骨の1つ1つを「椎骨」と呼びますが、その椎骨と椎骨の間でクッションの役割を果たす椎間板が何らかの原因で変形して飛び出す病気です。腰椎部分の椎間板が飛び出すと神経が圧迫されて坐骨神経痛が起こります。
ヘルニアを発症するのは比較的若い患者様が多いです。
梨状筋
お尻の深い部分に「梨状筋」という筋肉があります。
梨状筋は前出の仙骨と太ももの骨である大腿骨を結んでいます。この筋肉は太ももを動かすときに大切な役割を果たす筋肉のひとつですが、この筋肉は坐骨神経の真上に位置しています。
この筋肉が硬化すると坐骨神経を刺激して痛みや痺れが起こります。坐骨神経痛を訴える患者様の多くはこの梨状筋が硬化している傾向が多く見られます。
坐骨神経痛を克服するには
カッターで指を切ってしまったり転んで膝を擦りむいてしまったり、原因と痛みの関係が明確な場合は対処方法も簡単ですが、坐骨神経痛のように原因が明確ではない痛みは対処の仕方がわかりづらいです。
ただ痛みや痺れが神経の圧迫によって起こっていることは間違いありませんからこの圧迫が起こらないような生活を心がける必要があります。
当院の患者様の姿勢を見ると姿勢が歪んで腰の湾曲が崩れている方が多いです。腰の湾曲が崩れると腰の筋肉の動きが悪くなり、こわばりや血行悪化が起こります。当院では腰の正しい湾曲を作る施術以外にも自分で出来るストレッチや運動等の指導も行います。
正しい腰の湾曲が出来ると筋肉が柔軟になり血行が良くなります。血行が良くなると神経に酸素や栄養が十分に供給され、痛みを起こす物質が排出されやすくなります。